日本でも失業率の問題は頻繁に議論されているが、ユーロ危機に直面しているヨーロッパでは仕事を求めてオーストラリアへと移り住む人が増加している。移民問題を抱えていたヨーロッパだったが、逆にヨーロッパを離れるという新しい移民のかたちになってきているようだ。
ワールドWave BS1で放送された内容を文字起こししてみる。日本時間の9月4日午前3時にフランスのテレビ局のフランス2(フランス ドゥ)が放送したニュース。
仕事を求めてユーロ圏からオーストラリアへ
新年度にあたって新聞ウエストフランスが行なった世論調査によりますと、フランス人の記録はこれまでになく低くなっており68%の人が将来を悲観しています。このような結果が出たのは2005年以来です。いつまでも続く不景気を前に遠く離れたオーストラリアで新たな冒険を試みる人達もいます。オーストラリアは新たな人生を求めるヨーロッパの人々にとっての黄金郷になっています。
ここはオーストラリアの北端に位置する小さな町ダーウィン。熱帯性の気候で10万人が住んでいます。周りには人けのない浜辺、市の中心の目抜き通りにはたくさんのパブがあります。
ここに5か月前にやってきたマノリスさんはウエイターとして働いています。彼は他の多くのギリシャ人同様、祖国を襲う不景気を逃れてやってきました。
マノリスさん
「あちらではもう未来はないと思いました。というのも、5月から9月か10月までのシーズン中だけの仕事しかしていなかったからです。(オーストラリアで今は)月にだいたい3,000ユーロです。ギリシャではこんなに稼ぐなんて夢にも思わなかったでしょう。」オーストラリアでよく見られるように高い給与がもらえます。マノリスさんは経済学部を卒業したもののギリシャでは研修のくちさえありませんでした。彼のように毎週数十人のギリシャ人がダーウィンにやってきます。そういうヨーロッパの人々にとって経済危機をしらないオーストラリアの労働ビザは非常に貴重です。
この2人は35歳のスペイン人。観光ビザだけで仕事探しにメルボルンに来ました。元管理職の2人はさらに出世を考えるとスペインには職がありません。
仕事を探しにきたスペイン人の2人
「国を出る前、50人ほどの友人が集まる機会がありましたが、その半数は失業していました。」あなたたちは亡命者ですか?
仕事を探しにきたスペイン人の2人
「冒険者です。亡命者ではありません。経済難民かな?アハハハハ(笑)」この2人のスペイン人はヨーロッパからオーストラリアへの新しい移民を象徴しています。
ときには大成功する人もいます。
バーバラ・デュランさん
「家にはジムもあります。仕事のあとや週末に使ってます。」ここはバーバラ・デュランさんの自宅マンションです。スポーツジム、スパ、サウナ、そしてプールもあります。
バーバラ・デュランさん
「温水なのでとても気持ちが良いです。仕事に疲れてリラックスしたければいつでもプールが使えます。」パリに住んでいた30歳代のこの女性の新しい生活は快適です。フランスでの仕事の展望は行き詰まっていたため、11か月前にオーストラリアへ伴侶と1年のビザを取得してやってきました。6か月仕事を探したあと、収入の良い仕事を見つけました。
伴侶はエンジニアとして、彼女はインターネットコンサルタントとして働いています。
バーバラ・デュランさん
「この国でパート仕事をするほうがフランスのフルタイムより稼げます。ここ4か月で仕事も安定してきました。顧客も増えそうなので満足しています。」フランスでは仕事が無かった?
バーバラ・デュランさん
「パリで4か月以上探してましたが見つかりませんでした。」去年オーストラリアに移り住んだフランス人は2万人。1年で16%増え、記録的数字です。多くの人にとって危機はもう遠い思い出です。
バーバラ・デュランさん
「以前は仕事にしがみつくだけでした。いまは自分の将来が明るく見えます。この国では守りの姿勢から脱し、将来への投資ができるのです。」多くのヨーロッパの人がオーストラリアに移り住む様は、勝利に輝くアジア太平洋と衰退するヨーロッパという新しい世界の現状を生々しくあらわしています。
France 2
日本人も技術者などの海外流出が止まらないという危機的状況になってきている。特に中国や韓国への流出が深刻化してきている。